映画の年齢制限ってどういう意味なの?
映画の年齢制限はどうやって決まるの?
こういった悩みにお答えします。
ステイホームをきっかけに、子供と映画を楽しむ時間が増えたご家庭も多いですよね。
映画は好奇心や想像力を育てるのにとてもよい時間です。
子供に映画を観せるときの1つの基準となるのが、「PG指定」あるいは「R指定」マークです。
このマークをチェックして、その映画を観るかどうか決める人も多いのではないでしょうか。
でも、そもそもこの「年齢制限(レイティング)」マークがどのように区分されているのか、意外と知らないですよね。
今回は、映画の年齢制限の区分について、また日本とアメリカの年齢制限の比較についてまとめてみました。
また、その中で区分された年齢制限に疑問を感じた作品、小さな子どもが観るときに注意が必要だと感じた作品についてもお伝えします。
映画倫理機構(映倫)が定めた年齢制限4種類
日本では、映倫の定めた映画の年齢制限が、「4種類」に分けて指定区分されています。
年齢指定 | 指定内容 |
---|---|
G指定 | どの年齢にも制限されておらず、誰でも鑑賞可能。 |
PG-12指定 | 12歳未満(小学生以下)の鑑賞には、成人保護者の助言・指導が必要。 (小学生が真似する可能性のある映画がこの区分の対象) |
R15+、R-15指定 | 15歳未満の入場・鑑賞が禁止。 (PG12より表現に刺激が強い。いじめ描写や暴力も審査の対象) |
R18+、R-18指定 | 18歳未満の入場・鑑賞が禁止。 (過激な暴力的・性的描写や、反社会的な行動を促すような表現が審査の対象) |
「審査適応区分外」や「映倫未審査」というのもあり、映倫が審査の対象にもしたくないと実質表明されたものだよ。
映画館で上映されることはほぼ不可能だね。
R指定と言ったら、15歳未満は鑑賞禁止っていうことね
映画倫理機構(映倫)について
映倫とは?
映倫とは、「映画倫理機構」のことです。
映倫は映画が世間に与える影響の大きさを想定しながら、法や社会倫理に反していないか、特に未成年者の鑑賞に問題がないかを自主的に審査している機構です。
実は自主規制団体だから、法的な効力はないのよね
映倫の審査員と審査対象
映画界の各分野に精通した審査員によって、劇場用映画および予告篇・ポスターの審査を行っています。
審査されたものは映倫規定のマークが付けられます。
ポスターの審査もしているんだね
映倫の審査を通過しないと上映できません!
日本の映画館は映倫を通過していない作品は、原則として上映できないことになっています。
その理由は、ほぼ全ての映画館が全興連関連団体に加盟しており、ここに加盟している映画館は映倫で通過した作品しか上映できないという規定があるからです。
R-18指定には裏事情があります
レイティング(年齢制限)された作品は、それだけ鑑賞する人が制限され「観られない世代」を生み出します。
これは興行収入にも影響してしまうため、不服とした配給会社が映倫と論争を巻き起こすことも稀(まれ)にあります。
R-18指定された映画は、広告やCMでの宣伝がほぼ不可能になります。
上映できる映画館も減少し、地上波では放送できません。
そういった事情も影響しているのか、日本では洋画においてR-18指定される映画が少ない気がするな
日本とアメリカの映画のレイティング(年齢制限)の違い
アメリカのレイティング(年齢制限):5段階
映画大国アメリカでは、この「レイティング(年齢制限)」がとても重視されています。
審査は、アメリカ映画協会(MPAA)が行います。
映画の年齢制限の基準は日本よりかなり厳しいものになっており、5段階に分けて細分化されています。
年齢指定 | 指定内容 |
---|---|
G指定 | 全年齢対象 |
PG指定 | 視聴制限はないが子供に見せる前に保護者が内容を検討することを提案 |
PG-13指定 | 13歳未満の子供の鑑賞には保護者の注意が必要 |
R指定 | 17歳未満の鑑賞には保護者の同伴が必要 |
NC-17指定 | 17歳以下の鑑賞の禁止 |
最近、日本とアメリカのレイティングの差が顕著になった映画があるよ。
「鬼滅の刃 無限列車編」だよ。
日本ではPG-12、アメリカでは暴力描写が懸念されてR指定されたんだ。
日本とアメリカのレイティング(年齢制限)を比較
映画タイトル | 日本のレイティング | アメリカのレイティング |
---|---|---|
君の名は | G | PG |
アナと雪の女王 | G | PG |
もののけ姫 | G | PG-13 |
アベンジャーズシリーズ | G | PG-13 |
TED | PG-12 | R |
スタンド・バイ・ミー | PG-12 | R |
パンズ・オブ・ラビリンス | PG-12 | R |
セブン | PG-12 | R |
バイオハザードシリーズ | PG-12 | R |
IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 | PG-15 | R |
レイティング(年齢制限)レベルをあげてほしい映画:5選
レイティング(年齢制限)のレベルをあげてほしいと思った映画5選です。
日本のレイティングの基準はアメリカと違って審査員の主観も入るので、一貫性がないのも実情です。
世界と比べると日本のレイティングの緩さは否めません。
子供に多くの映画を観てほしいと思いつつも、もう少しレイティングのレベルをあげた方が良いのでは?と疑問を呈したくなる作品があります。
18歳以下の子供たちが映画から受ける影響は、大人が考えるより大きいものでしょう。
成長に合わせた映画が明確な理由できちんと分けられていたら、もっと安心して映画を楽しめると思います。
大人の私にはどれもわりと好きな映画なんだけどね…
・「ソウ」シリーズ
「ソウ」シリーズ全話R-15指定での公開ですが、グロテスクな場面もあり、18歳以下の子供にはできるだけ観せたくない映画です。
低予算で作られながら秀逸(しゅういつ)なストーリーは見事に完成され、上質なホラーにさえ感じます。
しかしサディスティックな殺人鬼ジクソウの餌食(えじき)になった人間たちの惨たらしさは、目も当てられない残虐な映像です。
シリーズを追うごとに過激さも増し、人体損傷や人間のもつ暴力性、醜さも炙り出していきます。
子供が観たときに、神学者みたいな発言をするジクソウをどうとらえるか心配だわ
・パラサイト 半地下家族
「パラサイト 半地下家族」は、暴力や性的描写や流血もあり、結末も後味が良いものではないのでPG-15指定にしても不思議ではないように思います。
2020年アカデミー賞では外国映画として4冠に輝き、歴史的快挙となった韓国映画です。
日本ではPG-12指定ですが、アメリカではR指定(17歳未満の鑑賞には保護者の同伴が必要)、本国の韓国ではR-15指定されています。
ストーリーはコメディ感満載な序盤からだんだんサスペンス調へと変わっていき、半地下家族が狂気じみたあたりからホラー要素を強めていき戦慄(せんりつ)が走ります。
子供と一緒に家族で観るには気まずい映画でもあるね
・クワイエット・プレイス
「クワイエット・プレイス」は、日本では何と全年齢OKなG指定とされていますが、せめてPG-12指定が妥当ではないかと思います。
小学生にはできるだけ観せたくない映画です。
「音を立てたら即死」という映画のキャッチフレーズが話題を呼びました。
地球が人間を捕食する宇宙人に支配され、そこで息をひそめて暮らす1つの家族の極限生活を描いています。
音を立てたらいけないので、映画は始終静寂と緊張に包まれ、心理的な恐怖心があおられていきます。
多少の流血はあるものの、残酷な殺害シーンなどはありません。
しかし、息もできない切迫感が恐怖体験となりパニックを起こしそうになります。
「スケアリーストーリーズ 怖い本」も同じ心理ホラーだから要注意だよ
・ジョーカー
「ジョーカー」は、日本ではPG-15ですが、アメリカと同じR指定(17歳未満の鑑賞には保護者の同伴が必要)にしても良さそうなクライム映画です。
公開した年に「イギリスで最も苦情の多かった映画」のトップとなりました。
さらにアメリカ軍が「この映画をきっかけに暴力を引き起こしかねない」と警告し、上映禁止を訴える人も出た問題作です。
映画予告やポスターでも、ジョーカーの緑色の髪と白塗りしたメイク顔がショッキングな印象を与えます。
貧しい大道芸人がだんだんと精神崩壊し、サイコパスへと変貌していく様子が描かれ、世の中の「負」をすべて投げつけるような壮絶なストーリーで観る者を打ちのめさせます。
好きな映画のくくりだけど、ジョーカー役のホアキン・フェニックスの怪演ぶりはしばらく頭から離れなくなるかも
・万引き家族
「万引き家族」は、日本ではPG-12とされていますが、親として考えるなら高校生にも観せるには悩ましいと感じる映画です。
タイトルからして「犯罪」や「怪しげな家族」を描いていることが伺え、タブーなテーマをにじませます。
予告篇やポスターはほのぼの感もあり、鑑賞後は人への思いやりと繋がりが生きる上でどれほどの支えとなるかを学び、感動の涙にあふれることでしょう。
しかし暴力はないものの、子供による万引きシーンや、女子高生が風俗店で働く様子、夫婦の濡れ場などわりと長めに映し続けています。
カンヌ国際映画祭のパルムドール賞作品で、日本が誇る傑作なんだけどね
小さな子供には気を付けたいG指定(全年齢OK)映画:5選
子供の育った環境や性格もあるので一概には言えませんが、小さな子供が観るには注意した方が良い映画5つをあげてみました。
子供向けに作られたであろう映画だと思い、油断してしまいそうなG指定(全年齢OK)映画です。
・ハリー・ポッターシリーズ
時に残酷な殺害シーンもあり、9歳以下(小学校低学年まで)の子供には注意が必要です。
児童文学で映画化された「ハリー・ポッター」シリーズ。
アメリカではPG-13指定されています。
主人公10歳のハリーが魔法学校で魔術を学びながら友情を育むというストーリーを聞けば、健全なファンタジーを想像されるでしょう。
しかし、シリーズを追うごとに人を石にしてしまう蛇や、魂を吸い取る黒い幽霊ディメンター、そして死喰い人が登場し、ダーク要素を強めていきます。
両親殺しの魔法使いヴォルデモート卿との対決が主軸になっているので、大人になっていくハリーと共にその闇深さを突き付けられていきます。
けっこう死人が出るのも気になるな
・コララインとボタンの魔女
「コララインとボタンの魔女」は、児童文学作品で、アカデミー賞長編アニメ部門にノミネートされました。
映画タイトル画像がカラフルで可愛らしく、いかにも子供向けなファンタジー映画を彷彿(ほうふつ)させます。
しかしオープニングの不気味さが予感的中し、始終、薄気味悪く不穏な空気を漂わせています。
強気だった11歳の主人公コララインが異質な世界にどんどん不安に駆られ、ついに魔女の正体を見破る辺りからホラー級の展開に進んでいきます。
ボタンの目をした魔女は生気を感じず無表情で、トラウマになるかも知れません。
アニメながらスパイスの効いた演出やおしゃれな色使いは大人向けのファンタジーとして楽しみたい映画です。
ボタンの魔女が優しいお母さんのふりしていたのが、すごく怖かった
・この世界の片隅に
「この世界の片隅に」はいつかは観てほしい戦争映画ですが、やはり9歳以下(小学校低学年まで)の子供には注意が必要です。
2016年に日本でロングランを記録し話題となりました。
戦争の無益さを子供に教えるのに見せたい映画の1つですが、そこで起きる悲惨な光景をどうしても描かないと伝えられない難しさが戦争映画にはあります。
被弾して片腕をなくしてしまうシーンや、黒煙の中命からがら逃げのびた母子とその後の過酷な描写が映し出されます。
平和で生きる現代の子供たちにとって衝撃映像と映るかもしれません。
・チャーリーとチョコレート工場
「チャーリーとチョコレート工場」は、ティム・バートン監督のブラックなマニアックさが見え隠れするので、未就学児には注意が必要です。
ファンタジーを得意とするティ厶・バートン監督ですが、彼の作り出す世界があまりにブラックすぎて勤務していたディズニーをクビになったことで知られています。
そんなバートン監督の手懸けるこの映画は、子供向けに作られたコメディ・ファンタジーとして送り出されました。
チョコレート工場に招待された子供たちが不思議な体験をするというストーリーは、一見、子供たちに夢を与えてくれそうな設定です。
しかし、工場に仕掛けられた罠に子供たちが犠牲になっていく展開は、コミカルながらも残酷さが残ります。
ジョニー・デップ扮する工場長の奇妙な姿や不気味な表情も後を引くかも知れないよ
・ジュマンジ(1995年)
ロビン・ウィリアムズ主演「ジュマンジ」シリーズの1作目です。
2作目以降はゲーム感覚で楽しめる内容ですが、1作目は悪夢的な印象を残すかも知れないので、未就学児には注意が必要です。
子供たちがサイコロを振るボードゲームを始めると、たちまち部屋の中がゲームの世界と繋がり、何とか攻略に向けて悪戦苦闘するストーリーです。
あらすじを読めば親子で楽しめそうですが、物語冒頭から不吉な音が響いて期待が裏切られていくのを感じるでしょう。
登場人物たちはサイコロを振るたび受難に見舞われます。
野生の動物や巨大な虫、食虫植物が出現したかと思えば、銃を持ったハンターに追い掛けられたりとパニックの連続です。
特に主人公が砂と化した床に沈みゆくシーンが残像となって焼き付くかも知れません。
子供がサルにされちゃうのも怖かったよ
まとめ
いかがでしたか。
最近の映画はスリルやリアルを求められているせいか、日増しに過激化されているような気がします。
日本のレイティングシステムが、今後より重視されていくのを期待したいところです。
子供に映画を観せるときは、しっかりと情報収集してから選びたいですね。
参考にされてみて下さい。
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