サンダンス映画祭とインディペンデント・スピリット賞って何?
どんな作品や監督が受賞しているの?
こういった悩みにお答えします。
映画を観るときの1つの基準として注目したい映画賞がいくつかあります。
今回はサンダンス映画祭、インディペンデント・スピリット賞についてご紹介します。
アカデミー賞やゴールデングローブ賞より耳慣れない賞ですが、映画の宣伝や予告で目にされた方も多いでしょう。
実はこの賞を受賞した監督は、その後の映画史に名を残すこともあり、映画業界人も熱い視線を向けている賞です。
そこでサンダンス映画祭とインディペンデント・スピリット賞の特徴と過去受賞作品、またサンダンス映画祭で名を残した監督やインディペンデント・スピリット賞の対象となる低予算映画についてまとめてみました。
独立映画に花を咲かすサンダンス映画祭
- 開催国:アメリカ
- 審査員:映画関係者
- 開催月:1月
- 開催場所:ユタ州
サンダンス映画祭の過去の受賞作品
- 2021年受賞作品:CODA
- 2020年受賞作品:ミナリ
- 2019年受賞作品:Clemency
- 2018年受賞作品:ミスエデュケーション
- 2017年受賞作品:この世に私の居場所なんてない
- 2016年受賞作品:バース・オブ・ネイション
- 2015年受賞作品:ぼくとアールと彼女のさよなら
- 2014年受賞作品:セッション
- 2013年受賞作品:フルートベール駅で
- 2012年受賞作品:ハッシュパピー バスタブ島の少女
- 2011年受賞作品:今日、キミに会えたら
- 2010年受賞作品:ウィンターズ・ボーン
サンダンス映画祭の特徴
俳優ロバート・レッドフォードが若手育成のために設立した独立(インディペンデント)映画のための祭典です。
それまで名も知られなかったクリエーターたちがサンダンス映画祭で上映されたことで大きな注目を浴び、一躍有名になる作品や映画人も多く、新進作家発掘の場ともなっています。
映画祭の期間中には上映権の売買が行われ、制作サイドにとっても配給会社にとっても映画マーケットにおいて大きなチャンスとなっています。
映画祭の来場者が投票する観客賞もあり、観客賞で受賞した作品がアカデミー賞に絡むこともあるよ
サンダンス映画祭で名を残した有名監督6人
◆クエンティン・タランティーノ
もともと俳優を目指しながらレンタルビデオ屋の店員として生活し、趣味で映画を作っていたタランティーノ。
そんな彼が28歳で初めて脚本、監督、出演を務めた「レザボア・ドッグス」が、1992年初めてサンダンス映画祭で上映されると瞬く間に注目を集めました。
そこから世界各地の賞を席巻し、一気にハリウッドの新鋭監督としてその名を轟(とどろ)かせたのはご存知の通りです。
その破壊的な脚本と痛快な会話劇、スタイリッシュな音楽はどの作品でも楽しめ、デビューから30年の今も多くの映画ファンから愛されています。
◆コーエン兄弟
名もなきコーエン兄弟が自主映画製作の資金集めに奔走して作られたのが「ブラッド・シンプル」。
1985年のサンダンス映画祭では審査員大賞を受賞し、鮮烈なデビューを果たしました。
今ではアカデミー賞やカンヌ国際映画祭においても常連化し、ついに「ノーカントリー」ではアカデミー賞監督賞を受賞しました。
緻密な作品作りで有名なコーエン兄弟ですが、描かれる世界は、どこか漂う悲哀感にシュールなユーモアを挟み込んでいます。
張りつめた緊張感を押し出しながらも温かさが残る作風は、コアな映画ファンを生み出し続けています。
◆スティーブン・ソダーバーグ
サンダンス映画祭で観客賞を受賞したデビュー作「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)。
いきなりカンヌ国際映画祭でパルムドール、アカデミー賞では脚本賞にノミネートされるなど、華麗なるデビューを果たしました。
当時26歳というこの早熟な天才監督は、その後も「オーシャンズ12」や「チェ」の2部作など、ヒットメーカーとして多くのジャンルを手懸けています。
◆ブライアン・シンガー
「X-MEN」や「ワルキューレ」など大作映画で有名監督となりましたが、デビュー作は「パブリック・アクセス」(1993年)。
サンダンス映画祭ではグランプリを受賞しました。
2作目の「ユージュアル・サスペクツ」(1995年)では最後に明かされる謎仕掛けのサスペンスが多くの観客の心をつかみ、ハリウッドのトップ監督として名を馳せ続けています。
「ボヘミアン・ラプソディー」は途中降板となってしまったけど、監督作の1つだよ
◆デイミアン・チャゼル
今、最もハリウッドで期待されている若手監督と言えばこの人!
デビュー作は自らメガホンを撮った「セッション」(2014年)。
サンダンス映画祭ではグランプリと観客賞の2冠を達成し、華々しいデビューとなりました。
2作目となった「ラ・ラ・ランド」では史上最年少にしてアカデミー賞監督賞に輝き、今後の賞レースに常連化しそうな勢いです。
デイミアン・チャゼル監督はイケメンでも有名だよね
低予算映画に光を当てるインディペンデント・スピリット賞
- 開催国:アメリカ
- 審査員:映画関係者
- 開催月:毎年2月~3月
- 開催場所:カリフォルニア州
インディペンデント・スピリット賞の過去の受賞作品
- 2020年受賞作品:2021年4月22日発表予定
- 2019年受賞作品:フェアウェル
- 2018年受賞作品:ビール・ストリートの恋人たち
- 2017年受賞作品:ゲット・アウト
- 2016年受賞作品:ムーンライト※
- 2015年受賞作品:スポットライト 世紀のスクープ※
- 2014年受賞作品:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)※
- 2013年受賞作品:それでも夜は明ける※
- 2012年受賞作品:世界にひとつのプレイブック
- 2011年受賞作品:アーティスト※
- 2010年受賞作品:ブラック・スワン
※はアカデミー賞でも作品賞を受賞してるよ。
インディペンデント・スピリット賞の特徴
毎年アカデミー賞の前日に授賞式が行われます。
ハリウッド大作映画とは違い、2000万ドル(約21億円)以下の低予算で制作された作品が対象です。
もともと、独立系資本で映画制作するクリエイターを応援するための賞です。
ハリウッドと邦画の映画製作費の相場を比べてみましょう。
映画製作費の相場
映画製作費の相場
邦画の大作予算が、ハリウッドでは低予算扱いとなるので桁違いであることが分かります。
インディペンデント・スピリット賞は低予算映画にスポットを当てている賞ですが、実はアカデミー賞とW受賞する作品も多いのも最近の特徴と言えるでしょう。
低予算が仕掛ける体感型ホラー映画が世界的ヒット
ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年)
過去、何よりも伝説的となって世界にホラー旋風を巻き起こした映画と言えば「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」でしょう。
ハンディカメラで撮影された素人感満載な作りが、逆にリアリティを生み出し、観る者を恐怖に陥れました。
その「本当にあった」かのような宣伝方法も話題となりましたが、わずか6万ドル(650万円)で製作されたこの作品はギネス級の大ヒットとなりました。
インディペンデント・スピリット賞では新人作品賞を受賞しています。
撮影はたったの8日間で行われたよ。これもまたリアリティ感強まったよね
ソウ(2004年)
ハリウッドクラスで考えれば、120万ドル(約1億3千万円)で製作されたサイコスリラー「ソウ」も低予算映画の枠組みとなります。
あの密室から始まる冒頭のただならぬ感は、一瞬にして観る者に戦慄を走らせました。
確かに場面は密室に限られているので低予算でも違和感はありません。
いや、むしろあの閉塞感は低予算だからこそ作り出せた恐怖映像なのかもしれません。
「ソウ」はサンダンス映画祭で上映されたことで一気に注目され、世界的ヒットとなりました。その後シリーズ7まで続き、低予算映画の金字塔となりました。
また超常現象ホラー映画「パラノーマル・アクティビティ」(2004年)は、製作費なんと1万5000ドル(約140万円)でした。
あの「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」より更に低予算で作られましたが、こちらも210億円の興行収入を叩き出すヒット作となりました。
低予算ホラー映画の優れたアイデアがまさに見どころとなって、多くの支持者を得られているのでしょう。
邦画では300万円の製作費だった「カメラをとめるな!」は大ヒットしたよね
まとめ
今回は、抑えておきたい映画賞第二弾ということで、サンダンス映画祭とインディペンデント・スピリット賞についてご紹介しました。
インディペンデント・スピリット賞は4月22日に発表されます。
ぜひ受賞した作品や監督をチェックして、映画鑑賞の幅を広げてみていはいかがでしょうか。
過去の受賞作品は動画配信サービス(VOD)で観られるので、ぜひご覧になってみて下さい。
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