映画の著作権って何?
映画の著作権期間はいつまで?
こういった悩みにお答えします。
ステイホームで、おうちでVOD(動画配信サービス)を楽しむ人も増えたかと思います。
レンタルショップに赴くこともなく、1日ルームウェアのまま古い映画から最新作の映画にどっぷり浸かって、おこもりするのも幸せですよね。
特に映画好きの人は、自粛期間中に古い映画を観直した人も多いのではないでしょうか。
そんな古い映画を観ていると、ふっと映画の著作権期間はどれくらいなのか気になってきますよね。
そこで今回は映画の著作権期間について、また著作権切れとなった映画はどんな作品があるのかをまとめてみました。
映画の著作権とその期間について
映画作品などの知的財産は著作権法で保護されており、その期間は公開後70年とされています。
著作権保護期間中は、下記項目にある無断利用は著作権侵害となります。
- 営利目的の上映
- 複製、盗撮、編集
- インターネットでの配信、ダウンロード
- TVでの放送
- 公衆への展示
- 他人への売却、貸与
映画の著作権者はだれ?
「映画の著作物の著作者は、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。」(著作権法16条)
著作権法より
映画の権利を保有する著作権者は、創造的に寄与した者=映画製作者、つまり映画のエンドクレジットでよく見る「製作委員会」のことです。
製作委員会は、その映画を製作するための出資や契約、また利益運用などを担っているユニットです。
製作委員会はテレビ局や配給会社の名前が目立つね
映画の著作権こんなときは?
教育機関での利用
学校教育の現場では、英語や音楽の授業で映画を鑑賞することがあります。
これは非営利目的の上映(38条1項)条に該当するので、著作権者の許可なく上映されても問題はありません。
英語の授業で「スタンド・バイ・ミー」を観たよ
業務用としての利用
家庭内視聴以外の目的で、映画のビデオソフトやDVDソフトをお客様向けに上映したり、または貸し出したりする場合は業務使用となり、専用の業務用ビデオ・DVDソフトを利用することになります。
- ビデオシアターでの上映
- ホテル、旅館での利用
- 健康ランド、個室シアターでの上映
- 長距離バスや旅客機等での車内上映
- レストラン・喫茶店等での上映
- イベント・図書館・公共施設での上映
これらは業務用ビデオ・DVDソフトの利用になるよ
パブリックドメイン(著作権切れ)映画とは
映画の著作権は公開後70年で終了します。
その著作権切れとなった映画をパブリックドメイン映画と言い、だれでも自由な利用が認められています。
よく本屋や催事場でワンコインの格安DVDが販売されているのは、パブリックドメイン映画なんだね
パブリックドメイン映画を楽しもう!
パブリックドメイン化された映画は今から70年以上前の作品であるため、かなり古い映画になります。
映画が誕生して120年、そこで生まれた往年のスターや名作は映画の歴史を刻み、今も熱く語り継がれているものがあります。
半世紀以上前の作品だというのにその映像表現は今観てもなお革新的なものや、心揺さぶる感動があり、映画本来の質の高さを体験することができます。
ぜひ、当時を偲びながらレトロな映画の世界を覗いてみましょう。
風と共に去りぬ(アメリカ・1939年)
古い映画は当時の時代背景の違和感を感じながら観るのも面白いところです。
特に最近の映画では奴隷制度で虐げられてきた黒人や、制度の廃止を訴える運動家側から描かれる作品が多いですが、「風と共に去りぬ」は奴隷を雇う貴族家庭をごく自然に描いているところに興味深さを感じます。
黒人奴隷に支えられつつ裕福に暮らす白人たちの自覚のない差別意識も垣間見れ、観る側面を変えることで映し出される歴史の違いに新たな発見を知ります。
また戦乱の世に生きる勝気な女性スカーレットの波乱に満ちた人生ドラマも魅了されますが、当時のハリウッドの最新技術で作り上げられた舞台背景も見どころです。
すべてセットなのかと思いきや、実はコンピューターで駆使された建物や内部がふんだんに織り込まれ、その豪華絢爛(ごうかけんらん)な映像やリアリティ感は目を見張るものがあります。
しっかりと時代考証された美術や衣装の視覚的な楽しさを味わいながら、濃密に仕上げられたストーリーの壮大感はいつ観ても眩さを感じることでしょう。
2020年、アメリカで黒人に対する人種差別への抗議運動が巻き起こったとき、奴隷制度が残る時代を描いた「風と共に去りぬ」が、一時アメリカの動画配信の停止に巻き込まれたよ
自転車泥棒(イタリア・1948年)
様々な映画を観て、そのたびに記憶は新しい映画で上書きされていきますが、いまだ私の中で色褪せずに残り続けている作品です。
ストーリーは失業者であふれかえるイタリアが舞台です。
やっと職にありつけた父親が仕事中に街で自転車を盗まれ、幼い息子と共に犯人捜しをする1日を追います。
貧困に苦しむ親子にとって盗まれた自転車は仕事道具であるため、生活のすべてであることが強調されていきます。
しかし途方に暮れる親子を助けてくれる人もいません。誰もが生きるのに必死だった時代。
そんな敗戦後のイタリア社会の厳しさと混乱を、ドキュメンタリー仕立てに映しています。
幼子の不安や父親の将来への憂いを思うと、堪えきれない感情にあふれていきます。
悲壮感を残しますが、メッセージ性の強いイタリアの不朽の名作です。
この作品をきっかけにイタリア映画の虜になってしまったわ
ローマの休日(アメリカ・1953年)
はたして、これほどまでに愛された映画のヒロインがいたでしょうか。
国内だけではなく世界中に、そして世代を超えてまでも愛され続けているアン王女。またそれを演じたオードリー・ヘップバーンの品位ある美しさは、いつ観ても恍惚とし、うっとりします。
それもまたその時代ならではの汚れなき純粋さや優美さを感じるからでしょうか。
さらに旅先で落ちたひとときの恋は、おとぎ話のようなロマンにあふれ、観る者を夢心地にさせてくれます。映画の持つ娯楽性と芸術性にただただ酔い痴れていくでしょう。
舞台となったローマでは、名場面がいくつも生まれました。
スペイン広場でジェラードを食べるシーン、2人乗りバイクで市内を走るシーン、真実の口に手を入れるシーン。どの映像を切り取っても絵はがきになるような洗練されたカットです。
1日だけの甘く切ない出会い。
まさにクラシック映画の王道をいくラブロマンスで、鑑賞後はどこかエレガントな気分に浸ることができます。
西部戦線異状なし(アメリカ・1930年)
こんな結末があってよいものだろうかと打ちのめされますが、これが血も涙もない戦争なんだと訴えかけてくる戦争映画の金字塔です。
製作されたのが90年前でありながら戦場風景がリアルに再現され、激しい爆撃なども実際に仕掛けて撮影されたことが伺えます。
兵士の悲鳴や慟哭が轟(とどろ)き、狂気に駆られていく様や、塹壕でのおぞましい展開は今観ても緊迫感にあふれています。
「プライベート・ライアン」「1917」「ダンケルク」など戦地の惨状を映し出した戦争映画は今では数多く観られます。
しかし1930年代ごろは戦争映画自体ほとんど製作されていませんでした。
公開された当時の人々のどよめきや衝撃は大きかったことでしょう。それもそのはず、この映画は間違いなく反戦思想を打ち出した映画だからです。
戦争とは何か?をひたすら真摯に向き合い続けます。
愛国心を掲げた1人の若者の視点で描かれた戦争は、ただ恐ろしさに満ちているだけではなく、そこには言いようのない虚無感が立ち込めています。
まさに後世伝えたい作品です。
当時軍国主義だった日本では通常公開はされなかったんだって
白雪姫(アメリカ・1937年)/ファンタジア(アメリカ・1940年)
ディズニーアニメもパブリックドメイン映画になっているものが多数あります。
中でもおススメは、1937年に公開された「白雪姫」で、初めて長編カラーアニメとして製作され大ヒットとなりました。まさに今のディズニーアニメの礎となった記念すべき作品です。
今から80年ほど前ですが、その滑らかな動きや美しい色使い、ダイナミックなサウンドなど、クオリティーの高さは古さを感じさせません。
子供だけでなく大人にも見知らぬファンタジーの世界へと導き、心が洗われるような高揚感を与えてくれます。
また音楽とアニメを融合して作られた「ファンタジア」は、アニメの歴史を変えた1作です。
言葉をなくし、視覚と音楽でストーリーを表現するという画期的な手法は驚きと感動の世界を紡ぎ出しています。
他「シンデレラ」「ピーターパン」「不思議な国のアリス」などの名作が次々とパブリックドメイン化されています。
今だからこそ世界のディズニーの歴史を振り返りながら、その当時の最高水準の技術を改めて楽しみたいところです。
まとめ
いかがでしたか。
映画の著作権の期間は公開後70年となっています。
映画は当時の歴史を映す鏡とも言われていますが、まさに変わりゆく時代で求められたものが、そこにあります。
また映画を観る自分もまた、年を重ねながら感性が変わっているのを感じます。
昔見た映画がこれまでと違ったものに感じたとき、自分の内面の変化や成長に気付かされます。
映画は歴史と、また観る人の内面も映す鏡なのかも知れません。
この機会にぜひ古い映画を振り返ってみてはいかがですか。
きっと素晴らしい発見があるはずです。
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