映画館の一般料金が1900円って高くない?
一部の映画館で、映画鑑賞の一般料金が1900円になったのは、2019年のことです。
日本の映画料金は、海外に比べて高いと言われています。
2017年のデータでは、平均料金で世界7位(参照:グローバルノート)となっていますので、高いのは事実のようです。
では、妥当な金額はどのくらいでしょうか。
今回は、映画の入場料金について調べてみました。
映画料金1900円は高いか、妥当か
映画鑑賞料金は、多くの映画館で一般1800円~1900円です。
これを高いと言う人は多いでしょう。
2016年に「映画ランド」が実施したアンケート結果を見ると、映画の一般料金を高いと答えた人は、86%でした。
ただ、一般料金が1900円でも、映画館には様々な割引料金もありますので、必ずしも毎回1900円払っているわけではないでしょう。
1900円は高い、と思いながらも、「割引があるから」という理由で受け入れている人も、多いのではないでしょうか。
言われてみれば、一般料金で映画を見ることはあんまりないわ
2019年、映画料金は26年ぶりの値上げ
2019年6月、TOHOシネマズを皮切りに、一部のシネコンが映画鑑賞の一般料金を1900円に値上げしました。
1993年以降、1800円で据え置かれていた一般料金でしたが、26年ぶりの変革です。
値上げの理由は、人件費や運営コストの増加とのことです。
2021年現在、映画の一般料金を1900円に設定しているシネコンは、TOHOシネマズ、109シネマズ、松竹マルチプレックスシアターズ(SMT)、T・ジョイ、シネマサンシャインです。
【最安は1500円】イオンシネマの料金設定に地域差あり
実は、青森県のイオンシネマ弘前では、映画の一般料金が1500円です。
イオンシネマでは他にも東北、北陸、中部など、一部の映画館で、一般料金が1700円になっています。
映画料金は全国一律、という印象がありますが、実は映画館によって、料金設定が異なることもあるのですね。
映画の入場料金を決めているのは興行会社である映画館です。
他の映画館と足並みをそろえ、一般料金を一律1900円および1800円にしていますが、本来は自由に決められるものです。
ただ、イオンシネマはかなりレアなケースのようで、他のシネコンでは、一般料金が1800円を下回るものはありませんでした。
【2020年】映画の平均入場料金は1350円
日本映画製作者連盟のデータから、入場者数と、平均料金をグラフ化しました。
2020年の映画平均入場料金は過去最高の1350円。
一般料金が1900円に値上げされた2019年には、レディースデーなど他の割引料金も100円ずつ値上がりしています。
それに伴い、平均値も上がっているようです。
入場者数が激減し、下げ止まりつつある1970年前後、映画の平均入場料金がぐんぐんと上がっています。
入場者数の減少を、値上げでカバーしていたことがわかります。
その後、1992年から2014年まで、映画の平均入場料金はずっと1200円台の横ばいでした。
映画の一般料金が1800円になったのが1993年なので、それと並行して20年以上、ほとんど変わっていない状況です。
しかし、2015年以降1300円台に突入し、じわじわと上がっています。
映画鑑賞の適正料金は1100円~1200円?
2016年の「映画ランド」アンケート結果では、映画鑑賞料金の妥当な金額を1100円~1200円と回答する人が約半数となっています。
全体でも、9割近くの人が1400円以下と回答しており、割引での入場料金くらいが妥当である、適正であると思う人がほとんどだとわかります。
それなら一般料金を1200円にすれば、もっと映画館に行く人が増えるでしょうか。
うーん。いつも割引で見てる金額と変わらないなら、別に行かないかな
一般料金からの割引、というお得感を演出する効果は絶大です。
映画の一般料金が1200円になった場合、さらなる割引料金を、設定せざるを得なくなるでしょう。
割引前提の一般料金っていうのも、少しおかしな話だけど…
映画料金の内、映画館に入るのはおよそ半分
私たちが支払う映画鑑賞料金は、興行会社(映画館)と配給会社で歩率を決め、それに従い配分されます。
作品ごとや、公開日からの週数によって変わりますが、約半分ほどが映画館の取り分になるようです。
割引料金で入場しても、その料金から配分されます。
そのため映画館が割引を実施すれば、配給会社の取り分も減ります。
配給会社は興行会社へ意見することはできますが、料金の決定権は興行会社(映画館)にあります。
一般料金を1900円に定めて配給会社に納得してもらいながらも、割引を実施して平均の入場料金を下げています。
より多くの観客を呼ぶために、映画館は割引を実施するのです。
映画入場料金は、作品と環境に払うお金
2019年に値上げされた映画料金ですが、入場者数への影響は出ていないようです。
直近の2020年は新型コロナウイルスの影響で入場者数は減少してしまいましたが、2019年は1億9千万人を超え、2億人に迫る勢いです。
VODと言われる動画配信サービスの普及により、映画は家でも外出先でも、気軽に見られるようになりました。
それでも、映画館で映画を見たいという人が一定数います。
たまには映画館で見るのもいいよね
映画入場料金は、作品そのものに払うだけでなく、映画館という環境に払うお金でもあると思います。
自分が見たい作品が、アクセスしやすい場所にある2つの映画館で上映されていたら、どちらに見に行くか。
スクリーンの大きさや音響にこだわる人は、その点が判断基準になるでしょう。
音響などにこだわらない人は、サービスの良さであったり、売店フードの充実であったり、ロビーの椅子の多さであったりと、居心地面の魅力で選ぶことも。
私の友達は断然、居心地重視だって言ってた
映画館に行くとき、どの作品を見るかも重要ですが、環境も重要です。
映画館では、映画を見に来た人が心地よく過ごせるよう、多くの設備費や人件費がかかっています。
それを考えると、映画料金は決して高すぎることはないのかな、とも思いました。
まとめ
映画料金が1900円と聞くと、つい反射的に、「高い」と感じてしまいます。
しかし、わざわざ映画館に行く理由はたくさんあります。
新作が見られるのはもちろん、大スクリーンで見られる、迫力の音響で見られる、快適なシートで映画に没頭できる、など様々です。
一般料金よりさらに高い金額を払ってでも、映画館に行きたいと思う理由があります。
4DXやIMAXなどの体験型シアターや、豪華なシートに追加料金を支払うプレミアムシートなどがその例です。
映画料金は、映画館が提供してくれるサービスに払うお金でもあります。
割引料金もありがたく受け入れつつ、今後も映画館を積極的に利用したいと思いました。
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